Up ホームレス 作成: 2025-01-12
更新: 2025-01-12


    秘境がどんどん潰されていくように,「異界」も潰される。
    日本では,ホームレスがかろうじて「異界」として残ってきた。

    ホームレスが「異界」?

    ホームレスは,幼稚な中学生などの攻撃対象になる。
    その中学生にとって「ホームレス」は,穢れの棲む異界である。
    これは攻撃し滅ぼさねばならない,というわけである。
    しかし彼らの幼稚さは,一般人がホームレスを薄気味悪く思うことと通底している。
    一般人のホームレスに対する見方も,「異界」である。


    体制は,「生活保護」システムを以て,これを同化しようとする。
    特に,「観光立国」を打ち上げてからは,これが厳しくなった。
    ホームレスは,「身内の恥」なのである。

    ホームレスは,一旦「生活保護」に降伏したら,戻れないようになっている。
    こうしてホームレスは,いまは減る一方になっている。
    実際,体制とは異形の者を同化しようとするシステムのことである。


    しかし異形の者が無くなることはない。
    理由は簡単
    自然にとって,体制は不自然で,異形は自然だからである。

    ホームレスの駆逐に邁進する東京は,自然にとって「一網打尽」の「網」である。
    ひとは見ないようにしているが,首都直下地震は確実にやってくる。
    インフラを地下に収めた東京中央部は,わずかな津波で泥に埋まり,機能を永久に停止する。
    東京中央部の地盤は川の洲であるから,強い地震で液状化する。
    川の堤防が決壊することになれば,東京中央部はさらに泥沼と化す。
    そして,火災が起こる。
    家屋密集地に発生する地震火事は,消防が効かないので,燃えっ放しになる。
    そしてこの状況から失職者が多数出てくる。
    こうして,百万人単位の数のホームレスが発生する。


    ホームレスに対する行政の対策は,地方に移動させることと仮設住宅団地の建設。
    しかしなにせ百万人単位のホームレス,何をするにも時間がかかる。
    その間に,東京の方々でホームレス村が興る。
    そしてそこは,次第に「異界」化する。
    「解放区」の趣きが気に入る者が,生え抜きのようにそこに残っていくからである。