Up | 弾道ミサイルの速度 | 作成: 2023-08-15 更新: 2023-08-16 |
これは,巡航ミサイルの推進力がジェットエンジンでつくることと対比される。 二つのエンジンの違いは,特に飛行速度の大きな違いに現れる。 巡航ミサイルの速度は,せいぜい 0.3 km/s。 これに対し弾道ミサイルの速度は,数 km/s。 ロケットは,「人工衛星」のアイデアがこれの出処である。 或る高度 \( h \) km での或る速度 \( v \) km/s の水平飛行は,地球を回ることになる。 これは,地球に落ちることが地球を回ることと同じになる,という現象である。 この飛行速度は,超高速なものになる。 この速度を実現するためにつくられたのが,ロケットである。 ロケットの推力は強大であるが,それは \( h \) と \( v \) の対応を,計算してみよう。
衛星の回転の中心は,地球の中心。 回転半径は \( R + h\ km \),回転速度は \( v\ km/s\)。 この回転の遠心加速度は, \[ \frac{ v^2 }{ R + h }\ \ (km/s^2) \] そしてこれが高度 \( h\ km \) での重力加速度 \( g_h\ km/s^2 \) とつり合っている。 地表での重力加速度を \( g_0\ km/s^2 \) とする。 「引力は距離の2乗に反比例」なので, \[ g_h : g_0 = R^2 : (R + h)^2 \] 即ち, \[ g_h = g_0\ \Bigl(\ \frac{ R }{ R + h }\ \Bigr)^2 \] よって,遠心加速度と重力加速の釣り合いの式は \[ \frac{ v^2 }{ R + h }\ = g_0\ \Bigl(\ \frac{ R }{ R + h }\ \Bigr)^2 \\ \ \Longrightarrow\ \ v = \sqrt{ \frac{ g_0\ R^2 }{ R + h } } \] ここで \[ g_0 = 9.8 \times 10^{-3} \\ R = 6378 \] として,\( h \) と \( v \) の対応を計算すると:
さて弾道ミサイルだが,これは このとき弾頭は落下するわけであるが,高度と水平速度の調整により,弾頭が地表の標的に 落下する弾頭は,加速される。 加速されてどれほどの速度になるかは,考慮すべき条件が色々あって,単純には計算できない。 それでも大雑把に計算してみたいときは,弾頭の飛翔を<抵抗ゼロ>と仮定する。 このとき加速分は<自由落下速度>なので,これを計算する。 水平飛行になったときの高度と速度を \( H, V \) とする。 その後の速度は,水平成分としての \( V \) と鉛直成分としての落下速度を合成したものになる。 そして落下速度は,つぎの計算で求まる:
愚直に区分求積で計算する。 つぎは,5秒間隔の区分求積で計算した結果:
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