正義は,「悪を退治する」になって,殺人に向かう。
虚無 (「神は死んだ」) は,英雄(超人)主義の「すべてが許されている」に転じると,殺人に向かう。
カミュは,この2タイプの「殺人的」を,「過激 démesure (excess)」のことばで主題化する。
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Camus (1951), pp.255,256.
革命の過誤は、人間性から分離することができないと思われるあの限界、反抗が正しく示しているあの限界をまったく知らないか、あるいは故意に誤解しているかによって起ったのである。
この境界を無視するが故に、虚無的な思想は、結局一様に加速度のついた運動の中に突入してしまう。
そのもたらす結果については、止めだてするものは何もない。
そこで完全破壊や無限の征服を正当化してしまう。
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同上, pp.258.
純粋にして単純な徳は、殺人的なのである。
またあらゆる現実主義には道徳的要素が必要で、シニシズムは殺人的である‥‥‥
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同上, pp.261.
精神の陶酔状態は、過激のめまいか、不可能への気違い沙汰 ‥‥‥
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引用文献
- Camus, Albert (1951) : L'Homme révolté, Librairie Gallimard, 1951.
- 佐藤朔・白井浩司 [訳]『反抗的人間』, 新潮社, 1956.
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