Up | 幻想と現実のダブルバインド | 作成: 2018-09-28 更新: 2018-10-16 |
それは,幻想の引き出しと現実認識の引き出しを別々に持っているふうである。 肝心なことは,一度に両方を開けないことである。 しかし,自分の間違いから,あるいは外から追い詰められて,両方の引き出しを同時に開けてしまうことがあり得る。 これは,一方を立てれば他方が立たずのダブルバインド状態である。 ダブルバインドの状態に自分をずっと措くと,ひとは精神を病む。 島崎藤村の『夜明け前』の主人公は,これである。 平田門人として,平田篤胤のことばと現実のギャップ・背反に悩む。 そして発狂してしまう。 『夜明け前』にわれわれが読むべきもの,それは,真面目に幻想したらダメだということである。 また,師 (アジテーター) とは罪なものだということである。 ──結論は,「無頼の者 (主体) であれ」 |