- 電磁波 (Wikipedia)
- 「電磁波の媒体は?」
電磁波以外の波動現象に、媒体があるのだから、電磁波の伝播にも媒体があるはずだ、と昔の物理学者も考えたのです。
なぜかというと、物理現象は、似たような現象は、同じ物理量を持つという単純さで成り立っている、という経験則があるからです。
現在は、空間そのものが、電磁波の媒体であるとする説が有力になっています。
空間(真空であるか否かに関わらず)は、ただの「空虚な場」、ではありません。
量子力学が進歩したお陰で、真空の空間とは、電子と陽電子が、対生成と対消滅を繰り返している高エネルギー状態の空間、と定義されています。
だとすれば、そこに「何かある」のですから、空間が媒体として電磁波を運んだとしても、不思議ではないでしょう。
水の波は、
・まず、水の一部が何かの力で持ち上げられると、これによって水は位置エネルギーを得ます。
・次の瞬間、水は下へ流れ落ち、これによって周囲の水が押されて横へ流れ、運動エネルギー(速度のエネルギー)に変換されます。
・運動エネルギーは周囲の水を押し上げ、再び位置エネルギーに変換されます。
このように、水の波は位置エネルギーと運動エネルギーの相互変換を繰り返して、周囲へと広がります。
電磁波(光)の場合も、電界は磁界を生み、磁界は電界を生む、という電気と磁気の性質によって、エネルギーの相互変換を繰り返して伝わります。
波の伝搬で重要なのは、媒体があるかどうかでなく「相互変換可能な2種類のエネルギーがあるか?」なのです。
真空を単に空っぽな空間(=数学的なだけの無味乾燥な空間)と考えると、考えが行き詰まってしまいます。
真空そのものが物理学の重要な研究対象です。
まず、真空は様々な力の場に成り得ます。
例えば、ある場所に質量を持った物質を置くと、その周辺には重力場ができます。(実際には重力は無限に遠くまで働きます)
同様に、真空は電場や磁場としても働きます。
そして、真空における電場の変化と磁場の変化が波(波動)として伝わっていくものこそが電磁波です。
電磁波とは、まさに、真空+時間=時空(4次元空間とみる)が持つ属性の一つなのです。
電磁波はエネルギーそのものです。(エネルギーの一形態)
空間的に見て、エネルギーの最も効率の良い(速い)伝達が電磁波です。
注一:真空について補足説明
さらに、ミクロ世界を研究する物理学の分野である「量子力学」では、真空は量子的に揺らいでいると考えられています。
真空のあらゆる場所では、無(物質の無い状態)から、粒子と反粒子がペアで生成され、すぐにペアで消滅するということを繰り返すという、激しく揺らいでいる世界です。
注二:日常や経験と物理の本質について
我々が日頃体験し感じることのできる世界は、色々な意味でごく限られた範囲の世界です。
そのような狭い世界の現象について、例えば「粒子」とか「波(波動)」といった名前を付けました。
そして、科学の進歩によって、直接は感じられない広い世界(宇宙のようなマクロ世界、素粒子のようなミクロ世界、光速に近い世界)を知ったとき、”取りあえずは日常の言葉でたとえる”しかありません。
しかし、本当は逆であって、人が直接は感じられない世界にこそ本質があって、そのような本質の混ざり合ったものが、我々が体験できる日常の現象(例:実感できる波)なのです。
つまり、電磁波というときの波と、水面の波や音波とは、全く別物と考えなくてはいけません。
電磁波や素粒子(電子や陽子など)の波こそが本質的な存在なのです。
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