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Ennos (2020), p.60
サバンナでは乾期、湿度が約60パーセントにまで下がって、強い日射しと風によって枯れ木があっという間に乾燥し、細胞壁の中に閉じ込められている水分がわずか12パーセントにまで減る。そうしてはるかに燃えやすくなる。
サバンナではまた、落雷によって枯れ草が燃えることで野火がたびたび発生する。
そうするとチーターや猛禽類などの捕食者が集まってきて、炎に驚いて飛び出してきた小型の晴乳類や鳥を仕留める。
サバンナのチンパンジーも野火に近づき、燻された豆を集めて食べる。
初期のヒ卜族も現代の狩猟採集民と同じく、このような行動を手本にして、火で殻が割れて軟らかくなったさまざまな種子や木の実を集めては食べていたのだろう。
自然に発生した火を見つけて利用できさえすれば、その火を燃やしつづけるのはさほど難しくない。
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- 引用文献
- Ennos, Roland (2020) : The Age of Wood ── Our most useful material and the construction of civilization.
- Scribner, 2020.
- 水谷淳[訳]『「木」から辿る人類史 ヒトの進化と繁栄の秘密に迫る』, NHK出版, 2021.
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