Up | 「比例とは商一定のこと」 | 作成: 2010-03-19 更新: 2010-03-22 |
これに対し,「商一定」を「比例関係」の意味にする者がいる。 この論は,モンスターになる。 比例関係として,速さ (「時間が2, 3, 4, ‥‥ 倍のとき距離が2, 3, 4, ‥‥ となる関係」) を考えよう。 比例関係を「商一定」の関係にする者は,つぎのように言っていることになる:
この値は,数であり, そして,この数は一定である。 (この一定の数を比例定数という。) 「モンスター」の所以は,「距離÷時間」を立てるところにある。 つぎの自問が起こらない:
時間は,時計の上に表される。 ここで,針が回転するタイプの時計を考えよう。 そしてこれから,さらに目盛り・数字を消し,長針だけを残す。 これでも,時計になる。 すなわち,時間が,長針の回転の大きさ (回転角) に表される。 そして,「時間が2, 3, 4, ‥‥ 倍のとき距離が2, 3, 4, ‥‥ となる関係」は,「回転の大きさが2, 3, 4, ‥‥ 倍のとき距離が2, 3, 4, ‥‥ となる関係」になる。 ここには,比例関係としての速さが実現されている。 しかし,「距離÷時間」は存在せず,特に「商一定」も存在しない。 「商一定」は,「量÷量」モンスターの延長である。 強調するが,「量÷量」は数学ではない。 数学の「÷」の記号は,「数÷数」の形で定義される。( 記号「÷」の文法) 「商一定」の商が「数÷数」のことであれば,比例関係の論は確かに「商一定」へと進む。 すなわち,「一方が2, 3, 4, ‥‥ 倍のときもう一方が2, 3, 4, ‥‥ となる関係」の定義から,数ステップを要して,「数÷数」の商一定に至る。 特に,「商一定」は,比例関係の定義ではない。 「商一定」は,定義ではなく,定理である。 翻って,「商一定」モンスターは,<定義と定理の区別を知らず,したがって循環論法をやってしまうモンスター>の一つの現れ方である。 |