Up | 「興味・関心」の意味 | 作成: 2014-02-09 更新: 2014-02-10 |
指導法で強調される「生徒の興味・関心」の意味は,つぎの通りである:
「算数の授業」は,授業時間の半分近くを,「興味・関心」の喚起に費やす。 そして,喚起した「興味・関心」の余勢を駆って,残り時間にあてた「学習活動」に入っていく。 「余勢を駆う」とは,どういうことか? 勢いのついた流れに「学習活動」を乗せていくということである。 そしてその内容は,「授業者のこれだと思い込んでいる形に,生徒を強引に押し込む」である。 これが,「算数の授業」の方略であり,スタイルである。 「算数の授業」は,「生徒の考え方を大事にした授業」のように思われているが,それは錯角である。 「生徒の多様な考え」は,授業者がこれだと思い込んでいる枠の中の「多様な考え」に他ならない。 虚心坦懐に「算数の授業」を眺めれば,これが授業者の主観に生徒を強引に引っ張る授業であることがわかる。 そして,その「強引」を実現する手法が,「興味・関心」というわけである。 このことは,「算数の授業」の「学習活動」がなぜ本来の数学的主題に回収されるものにならないかをも,説明する。 即ち,授業者の主観の段階で,既に数学的回収とは別の方向に進んでいる,ということである。 「数学」は,物事を難しく・ややこしくするためにあるのではない。 「こんなふうに見たら物事はスッキリ見えてくるよ」をしようとするのが,「数学」である。 そして,算数の授業は,本来この「スッキリ」を授業のゴールにするものである。 一方,「算数の授業」は,「興味・関心」の充足がゴールになる。 このときゴールしたものは,授業者の主観が定めた「興味・関心」である。 授業者の主観が,ゴールしたのである。 |