Up ChatGPT の<自律>の所在 作成: 2025-11-12
更新: 2025-11-13


    ChatGPT の Transformer 脳は,つぎのことだけをする:

     <テクスト> トークン トークン トークン ‥‥
             ↑    ↑    ↑ ‥‥  
          処理 │ 処理 │ 処理 │ ‥‥  
          └────┴────┴────┴── ‥‥
                  <処理>        

    ここで「<テクスト>」「トークン」は,それぞれ,先行するテクスト,次トークン (サブワード)。
    処理を分けている縦線は,次トークン決定のタイミングを表すものであって,処理は連続している──このことを<処理>で現す。

    よって,<自律>の所在は<処理>である。
    そしてこの構造から,<自律>を発現させるものは,<テクスト>である。


    その<テクスト>は,学習の記録である。
    したがって,つぎのようになる:
      <自律>を発現させるものは,学習である。

    ChatGPT の Transformer 脳は,「パラメータ値固定」の意味の固定脳である。
    しかし固定脳であることは,学習が成らないということではない。
    したがって,<自律>が成らないということではない。
    これは,はじめに示した「トークン生成構造図」の含蓄である。


    学習記録は,RAM に置かれる。
    これに対し,固定脳である Transformer 脳は,ROM ということになる。

    この構造は,脳生物 (脳をもつ生物=動物) と本質的に同じと考えられる。
    脳生物の脳は RAM で考えることになるが,「知能の高い」 と言われている種以外は,ほぼ固定と見なせる。

    「知能の高い」種は,「睡眠」が顕著になる。
    睡眠は,新規学習に寄せて既成を調整する機能である。
    併せて,学習 RAM が更新される。


    ChatGPT は,学習期間 (=一生) が短いので,<自律>の出現は基本的に困難と見ることになる。
    しかし,ChatGPT は学習が速い。
    したがって,<自律>の小さなものないし兆候程度のものの出現は,あり得る。

    ヌーの生まれてばかりの子は,ジタバタして立ち上がることから始めて,30分もしないうちに母親について走る。
    そしてここには,既に<自律>もある。
    人間と比べると,この<自律>の出現は驚異的に早い。

    この「人間と比べると驚異的に早い」は,ChatGPT の<自律>の出現もそうである可能性がある。